富士山  美の静寂

第5章「秋の空」

目の前を小さな赤とんぼが飛んでいきます。とても気持ちよさそうに、くるくる・・くるくる・・どうだ!ととても誇らしげに飛んでいきます。友達が沢山いてみんなで楽しそうに飛び回っています。

昔、「かもめのジョナサン」という本がとても好きで何度も読み返しました。そのかもめは仲間のかもめたちとは違う夢を見ていました。高い高い空に向かい、何度も何度も挑戦し、ついに仲間の中で一番高く飛ぶことができたのです。決して諦めず、自分を信じてついには誰も見たことの無い孤高の空を手に入れたのです。

仲間と仲良く飛ぶことも楽しいかもしれませんが、自分の夢に向かい頑張ることの大切さを教えられた気がします。2002年4月、神奈川県箱根町強羅に箱根写真美術館を開館します。夢に向かい、諦めることをせず、頑張る大切さを信じ、孤高を目指した写真家の小さい美術館です。無名の写真家が富士山に魅せられ、毎日毎日撮り続け、世界に発信するために作った繭のような空間です。

伝承の日本文化と異国文化の融合、五感の回帰、縁と円による心の交流、新しい才能の発掘、写真を通じて表現、発表できる場所の提供、こんな理念を掲げて長い旅に出ようと思います。冒険家に憧れ、登山家に憧れ、海の男に憧れた一人の男が写真家としての一歩を歩みはじめました。アポロ11号のアームストロングが月面に降り立った時の言葉を思い出しました。「この一歩は小さな一歩だが、人類にとっては偉大な一歩です」世界の人たちに認められるような、写真美術館に成長できるような願いを込めた、新たな一歩を歩み始めます。崇高な富士に感謝を込めて。

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