Vol.4

遠藤桂氏撮影:遠藤桂氏

 さて、今回はこのエッセイのタイトルにも使われている『アカフジ』について少し。

赤富士とは晩夏から初秋にかけて時々起こる現象で、富士山が早暁の朝日に映えて真っ赤に見えることをいいます。

こんな辞書に載っている定義は知らずとも、『アカフジ(赤い富士)=縁起がいい、おめでたい』これは日本人の脳の中に生まれつきインプットされているのでは、と思う程です。人々が富士の写真ときいて、まっ先に思い付くのはやはり赤富士のようです。

『アカフジ日記』とはいうものの、当箱根写真美術館で常設している遠藤桂氏の富士山写真の殆どはアカフジならぬアオフジ。(現在は「蒼詠」というタイトルで開催している為、殊更にアオが多いのです。)

蒼富士びいきの私としては、赤富士人気は少しさみしくもあるのですが、御来館下さった方が、初めて見る『蒼い』富士に驚きつつも感動してお帰りになるとき、私はひそかな喜びを覚えています。

 しかしながら、富士といえば赤富士、アカフジといえばおめでたい、という認識が広く一般に根付いてることによって富士山に対する畏敬の念も増大しているように思うのです。古くからの習わしやいい伝えが語り継がれることもなくなりつつある今、日本人が日本のものを誇りに思うのは良い事ですし、縁起を担ぐのも日本独特の方法ですから、面白い。富士に限らず、自国に在るものを美しいと感じたり、古いものを見直したりと、自分のまわりにちょっと興味を持ってみると、日本にも自分にもすこし愛着がわく気がします。

 『アカフジ日記』と聞いて、なんとなく縁起がよくて楽しい気分になる。日本人らしい自分をちょっと好きになる。私自身はそんなアカフジというこの音と存在に、箱根写真美術館の前途を明るく照らしていっていただこうかと、そんな虫のいい気持ちでいるのです。


***展覧会情報***

6月の展示は、遠藤 桂『富士山ー蒼詠展』。

今の季節はなかなか富士山にお目にかかれません。美術館で存分にお楽しみください。

***箱根情報***

これから梅雨を迎え、雨の日が続きます。

箱根は6月半ばから恒例のあじさい電車の季節です。
苔も美しい濃緑に染まり、照りつける夏の前に、思いきり雨を堪能する木々。
しっとりとした箱根はとても趣きがあります。
ゆっくりとした気分で情緒あふれる箱根をお楽しみください。

***番外告知***

小田原東口商店街の日本茶店『茶加藤』併設ギャラリー
『遠藤 桂 富士山写真展』開催!!

会場:『茶加藤』 小田原市栄町2ー9ー7  TEL0465-22-1056

期間:7月5日(土)〜8月31日(日)

文・写真(紫陽花):詠

箱根写真美術館が出来上がるまでの様子

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