Vol.13

私達のところには、春とともに訪れるものがもう一つ。

今年で3年目になる「それ」は今や春の風物詩になりそうです。

その名は、LEON。

3年前、パリで初めて彼に会いました。

社交辞令的に「日本に来たら連絡して」と言ったものの、まさか連絡があるとは思っていませんでした。パリでは一度会っただけ、ろくすっぽ話さず(私の語学力では相手にされなかった、という方が正しい)別れたのですから。

その直後に来日。唐突に電話が来ました。他国語を使う時、一番恐怖なのは電話ではないでしょうか。面会していればジェスチャーという強い味方があり、手紙やメールでは辞書があります。

どうにか、「あの時のフォトグラファ−」という事は分かり、何やら力を貸してほしいことがあるようです。

彼は「アッパーハウスに一緒に行って欲しい」と言いました。アッパーハウス?!なんだ?しかも何故一緒に?

何度も聞き返し、どうやらオペラハウスのこと?という所まで辿り着きました。

つまり初台のオペラシティーのことではないかしら?

確信を持てないまま、とにかく会ってからだなと思い、日本のどこなら知ってるか尋ね、六本木アマンドで待ち合わせをしました。独りじゃ心細く、これまた英語に自信のない友人を連れて六本木へ。

彼が来ました。正直、こんな顔だったかさえ思い出せませんでした。

黄色いガーベラを一輪持っています。

「This is for you」

さすがアメリカ人!!

これが再会でした。

 予想は幸い的中。オペラシティーで雑誌のカバー撮影の仕事が取れたが、見た事も聞いた事もない場所。撮影の前に下見しておきたかった、といいます。編集の人は付いてきてくれなかったの?と聞くと断られたとのこと。一日彼のロケハンに付き合いました。

知らない土地で何かしようとすると、困る事は沢山あります。例えば自分の欲しいものがどこで手に入るか、など。専門的なものは特にそうです。彼は日本で仕事探しはもちろん、桜に熱烈な思いを抱いており、作品もつくりたいと言っていました。

私はできる限り、知り合いを紹介し、彼が日本でいい作品をつくってくれるように、不自由しないように願いました。

しかも私の語学力不足のせいで、うまく説明ができず、つい、じゃあ、一緒にいくからと言ってしまい、なんやかんやレオンにくっついて行くことになってしまったのです。

それからというもの、妙になついてしまったのです。

私の努力の甲斐あって(?!)LEONは日本で沢山の友人をつくり、日本を好きになってくれたようでした。しまいには、私はLEONに日本語で説明するようになっており、それでもなんとなく通じるようになってきて(たぶん、強引に)一緒にいることも普通になってきたのでした。

レオンが最近撮影した雑誌のカバー写真撮影:Leon Saperstein

    Leon 公式Website
  
http://www.saperstein.com

 箱根写真美術館に遊びに来て何泊もし、遠藤 桂氏の作品も大いに気に入り、来年の春に展覧会をしないかということにまで発展し、2003年の春に実現しました。

LEONはとても人懐っこいので、誰とでもすぐに友達になり、いつも「I love Japan!イエーイ!」と言っています。(日本語式イエーイ!を覚えたようです)

今年も彼がやってきました。桜とフルムーンをこよなく愛し、日本を愛し、写真を愛するファッションフォトグラファ−。

しかし、何故かいつも少し来るのが遅いのです。桜は散り始め、満月は数日前に終わってしまいました。

彼はエンドーサンと一緒にフジサンを撮りたい、といって箱根に来ます。しかし、彼は雨男。大抵、くもり空か雨です。それでも楽しそうに満足気に帰って行くのです。

今年は箱根の桜もまだ大丈夫。お天気も良さそうです。今週末には、ヒョロヒョロっと顔を出すはずです。おそらく物凄い量の機材と共に、気楽そうに笑顔でやってくる。

「Hi! エンド−サン、how are you?」

日本を賑わせる(撮影:詠)
                                            文/ 詠

箱根写真美術館が出来上がるまでの様子

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