Vol.17
 ☆残暑お見舞い申しあげます☆


現在、箱根写真美術館では「箱根の自然で学べる、写真の撮り方教室」と題して、夏期の一日写真教室を実施しています。

受講者はまだまだ少人数ですが、プロによる丁寧な指導が好評です。

しかしながら、実際にやってみると、私達の方が受講者のみなさんから学ぶことが多いのです。

一眼レフは初めて、という方が初めてカメラを持ち、ファインダーを覗いた時の表情はとてもいいものです。

講議の時間はおっかなびっくり、「絞りって何?」「何と何を合わせるって??」

と不安な表情。でも話を聞く姿は真剣そのもの。

写真には光がとても重要で、像は光がなくては写りません。

「絞り」は光りの入る窓の大きさ、「シャッタースピード」は窓を閉める速度のようなものです。その二つのバランスを調節することにより、写真が明るくなったり、暗くなったりする、つまり色合いが変わってくるわけです。

そのバランスを示すのに数値が使われ、その数値がややこしいのです。

みんな、解ったような、解らぬような面持ちですが、当教室の本来の目的は実習にあり、です。

頭だけで理解するのは非常に難しいので、この話を片隅に置いて実技の中で身につけて頂きたい、ということで、いざ実習地へ。

 

ファインダーを通して見ると、いつも目にするものが一部分だけ切り取られて見えてきます。レンズを変えて見ると、また更に見え方が違って、そこには新たな世界が拡がっています。そうしているうちに被写体の形状などを観察して、一番綺麗と感じるアングルを探すようになります。こうしたい、ああしたいと欲が出てきます。

最初は、分らないながらも絞りはいくつ、シャッタースピードはいくつと確認しながら、一生懸命ピントを合わせています。

だんだん、夢中になるとそれも忘れ、ただただ被写体にピントだけを合わせていたり、逆に絞りを気にしてピントを合せるの忘れた!(?)なんて人もいて。。。

仕上がりはともかく、夢中になってカメラを構えて、地面に這いつくばるほど集中している姿は、教室をやってよかった、と思う瞬間でもあります。

「写真って面白いんだ」ということを知って欲しいと企画したはずなのに、

逆に受講者の皆様の姿や、作品をみて、こちらが改めて教えられる瞬間です。

写真って面白いなあ、と。

講議の様子;根写真美術館内にて
(撮影:詠)

 

撮影実習の様子;箱根金時山にて
(撮影:瀬戸哲生)

 講師の方も私自身も生徒さんの反応から、説明の仕方、より分かりやすい指導について、また教室の在り方について考えることができます。

意外な質問が飛び出すこともあり、自分も学ばなくては、人に教えるなんてことはできないんですね。

ステップアップして技術を身につけ、自分の思い通りに被写体を写せるようになれば喜びも大きく新たな楽しみが生まれます。でも一番最初に感じた気持ち、新鮮な驚き、発見の喜びなど、技術や知識の向上と反比例してしまうところがあります。

そんな中で、教室での出会いは講師やスタッフ側にとっても、貴重な交流の場となることがわかりました。

ある日、写真学校の一年生という方が受講されました。

写真が面白くて仕方ない時期かな?と勝手に思い、

「いつもカメラを持ち歩いてるのですか?」と聞くと答えはノー。

「どんなときにカメラを持ち歩きますか?」と聞くと、首をかしげながらも「家の近所かな」。

意外でしたが、理由を聞いて少し納得。

理由は「写真を撮ってると家の近くで何かが見付かるから」

写真を撮るというのは面白いことに、その通りだと思いました。

普段何気なく見ている風景に、何かを見い出してシャッターを切る。

 例えば、それが野良猫の横切る瞬間だったり、西陽のつくる影だったり。

カメラを持つことにより、意識して見るようになり、意識して感じることができます。

注意して見ることができると、一番いい瞬間を撮ろうと、アングルや太陽の向きも気にして、被写体に与える周りの状況にも注意深く観察するようになります。

その一瞬を形に残しておきたいという欲望です。

一日で学べる写真の撮り方は、本当に限られたものでしかありません。

写真経験のある方には、プロならではの技術を伝えることはもちろんですが、技術だけではないことを思い出して頂きたい。

まったく一眼レフなどに触れたことのない方には、自分の感性が一枚の写真にどれだけ影響力があるということを感じて頂きたい。

そして教える側と教えられる側は、その逆でもあると実感しました。

教室とは口実で、人との交流の場をつくりたい、というのが私の本音なのかもしれません。

 文/ 詠

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箱根写真美術館では、「箱根の自然で学べる、写真の撮り方教室」を好評開催中です。

※フジフィルム系サイト『PHOTO MORE』にも掲載中ですhttp://www.fujifilm.co.jp/photomore/pickup/index.html

                                

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