カキ氷
夏は氷です。私はだれになんと言われようと夏はかき氷を食べます。しかし私の場合、食べるというより飲むという表現の方が正しいかもしれません。うず高くそびえる氷の山をスプーンでサクサクつつきながらシロップに混ぜ合わせてみぞれ状に最初からしてしまいます。そのみぞれ状の液体をスープのようにすくって食べるのですから、飲むという方が正確でしょう。

かの白洲正子さんも「夏はこれがないと始まらないのよ」と言うぐらい冷たいものがお好きで、かき氷ときんと冷えたレモンスクワッシュ(白洲さんはスカッシュではなくスクワッシュと発音されていたようです)がお好きだったようです。暑い夏の日は九品仏の境内にある茶店でかき氷を召し上がったそうです。幼いころ、父とともにドライブがてら来て食べたかき氷が忘れられず、最晩年まで通い、愛したそうです。

その白洲正子さんが愛した九品仏の茶店のかき氷は食べたことがないので知りませんが、夏に私がよく訪れるかき氷の店は、神楽坂の「紀の善」と赤坂の「とらや」です。紀の善のかき氷は金時です。ふわふわの綿のようなきめの氷にたいそう上品に煮詰められたあんがかかっています。あずきですが、あずき色にはほど遠い、うすむらさき色のあずきです。藤餡とかいう製法のあんだと思います。近いところでは、もみじ饅頭の中に入っているあんや、赤福もちに使われているあんがこの種類のあんだと思います。とらやは宇治です。独自にブレンドされた特別な宇治シロップです。とても濃厚でとても甘いです。今風の甘味を抑えたとか、サラリとしたというトレンドは無視されています。しかし、さすが「とらや」と言わざるを得ないみごとな味です。あれほどしっかり甘いのに宇治の風味と苦味がしっかり感じ取れるのです。

今年は本当に暑い夏でした。連日30℃を越す気温。40℃を記録した日もありました。家電業界では、エアコンの売れ行きが高潮だったようです。私も猛暑を回避する道具を買いました。電動かき氷器です。おかげ?で今年はとらやに行く機会を逸してしまいました。クーラーで涼をとるのもいいのですが、暑い中で氷を飲みながら、体の中からスーと冷えていく感触は外側から冷やされる感覚より私にとってはずっと快感です。


文・画像・みつけた人:若なさん

 

          電動かき氷器:東急ハンズ
          紀の善:東京都新宿区神楽坂1-12 電話;03-3269-2920
          とらや:http://www.toraya-group.co.jp